発達障害
家族不和

発達障害について
発達障害は一つの状態を表す言葉ではなく、カテゴリーを表す言葉で、通常6歳までに発覚します。

高校生の年齢になって急に発達障害が"発症"することはありません。

 

高校生の年齢頃に急に子どもの心がわからなくなったり、問題行動が頻発してきてもく発達障害と決めつけないでください。それは普通、反抗期と呼ばれるものでむしろ成長の一過程として必要な時期です。

 

寂しさや不安を感じるかもしれません。しかし、親は子どものことを「すべてを知らなくてもよい」のです。

そのことが辛いならばカウンセリングにいらしてください。

発達障害は大きく4つに分かれます。

自閉症、アスペルガー障害、注意欠如多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)です。

知的障害を加えると部分的に重なりあって、形成されます。

 

(1)知的障害

知能指数(IQ)と呼ばれる指標を手掛かりに診断、認定されます。

知能指数は100を平均値として70~130の間に全人口の95%が入るように設定されています。

知的障害はIQ70以下の場合で、全人口の2.25%に分布して存在します。

知能指数は同年代の平均からどのくらい離れているかということであり、今後知能が発達しないわけではありません。ゆっくりですが確実に成長します。

他人との比較ではなく、過去と比較して成長を喜びましょう。

 

(2)学習障害

読む、書く、計算する、話す、理解する、推測するという6つの能力の中の一部に障害があります。

医療ではもう少し狭く、前半の3つ、読む、書く、計算するという能力の障害だけが学習障害と診断され、後半の3つ、話す、理解する、推測するという能力の障害は、コミュニケーション障害やアスペルガー障害に分類されます。

 

学習障害は部分的な障害であり、例えば書くという行為は近年ではキーボードを使うことで補えますので、無理する必要はありません。

発達障害は治るものではないので、克服という言葉は不適切です。

得意な能力を伸ばしていく方が本人の生き方に幅を与えることになります。

 

(3)注意欠如多動性障害

不注意、多動性、衝動性の3つが特徴です。

不注意タイプや、多動性と衝動性タイプもいます。

集団行動を乱したり危険な行為を行ったりするので目をつけられやすく、怒られてばかりとなりがちです。

 

しかし、怒られてばかりいると「怒る」行為を取り入れて成長してしまうので、反抗と挑発を繰り返す「反抗挑戦性障害」やルールに反する「素行障害」、性格的に他人を慮れないような「反社会性パーソナリティ障害」に発展してしまう可能性があります。

 

予防と効果を考えて、自尊心を伸ばし、自他の権利を守れるように育てていく必要があります。

 

(4)自閉症

定義上は知的障害の有無を問わないとされますが、実際には知的障害を伴う場合が多くあります。

知的障害が伴わない場合は、「高機能自閉症」と言われます(平均以上の知能=高機能、を持っている自閉症)。

 

自閉症は、言語によるコミュニケーション、社会性(その場に合った振る舞いや身なりなど)、推測したり想像することといった3つの能力に障害がみられます。

 

複雑な手順や意味を一度に理解することは困難です。

しかし、一つの言葉と一つの動作といったつながりは学習していけるので、大きな文字でわかりやすく指示したり絵を描いて直観的にわかるように教えていくと効果が現れます。

 

また、自分の考えや気持ちを言葉で表現する術を持っていないので、直接行動に移します。

頭に来れば暴れるのですが、それが彼らのコミュニケーションなので、理解する必要があります。

 

(5)アスペルガー障害

ハンス・アスペルガーという医師の名前から名づけられた自閉症に関連のある障害です。

自閉症同様3つの能力領域に障害がみられます。

高機能自閉症と似ていますが、アスペルガー障害は言語による意思疎通が可能な場合の診断となります。

 

高機能自閉症は、話すことがあまりできないけれどもある程度の理解力があり計算等には障害が見られないといった場合もあり、アスペルガー障害とは区別したほうがよいという考え方もあります。

 

アスペルガー障害は、定義上は知的障害を伴わないとされますが、実際には軽度の知的障害を伴うケースが散見されます。本態としては知的障害を伴わないのでしょうが、学習過程や言語理解上の部分的間違いなどで能力を活かしきれていないということが多いようです。

 

知的障害が強くみられる場合にはアスペルガー障害ではなくて自閉症となります。自閉症はカナーという人が最初に報告したので、カナータイプと言われることがあります。

 

アスペルガーとカナーはそれぞれ軽度の自閉症と重度の自閉症という同じカテゴリーの両極を報告したということになります。そういう背景によって、アスペルガー障害はよく自閉症のマイルドタイプと言われます。

 

知能指数が130以上の場合、アスペルガー障害の特徴の一つである「こだわり」によって、特定の分野において極めて詳しい知識を身につけて社会的に成功する可能性があります。


いずれの場合も、できないことばかりに注目せずに、できることを伸ばす視点が重要になります。
 
また、発達障害の様々な特徴により、一般的な人とのコミュニケーションが取りづらくなっているという二次的な問題も考えられます。
 
彼らには温かな他者とのコミュニケーションと具体的な適応行動を獲得していくことが必要ですので、カウンセリングという場を利用することが必要だと思います。
 
また、ご両親がカウンセリングに来て温かな態度を身につけていかれることも、ご本人にとって良い影響があるのではないかと思います。

連絡先:03-6677-6431