誰もいないはずのところから、物音や人の声が聞こえる幻聴。聞こえる音声は単純な物音、音楽、人の声、複数の人による会話、また、判別不能なものなど、様々です。
幻聴は統合失調症などの病気ではない正常な人でも、特殊な状況下では一時的に経験することがあります。例えば、伴侶を亡くして悲嘆にくれていた時に、死ん だはずの伴侶の声が聞こえた気がした、というようなものです。これらは一時的なものですが、精神疾患、特に、統合失調症ではこの幻聴が主症状として現れま す。詳しくご紹介しましょう。
統合失調症の幻聴の種類・特徴
統合失調症の幻聴のタイプには以下のものがあります。- 何かをしようとすると、それに対するコメントが聞こえる(多くの場合、ネガティブなコメント)
- 命令する声が聞こえる
- 複数の人が会話をしていて、しばしば自分の噂や悪口を言っているのが聞こえる
- 自分の頭の中の考えが、外部の別の声として聞こえる
幻聴は他の人には気づかれませんが、身近な人が幻聴の症状に悩んでいる場合、本人の言動から幻聴のサインが読み取れることがあります。
- よく独り言を言うようになった
- 人の話を聞いたり話しかけたりしているような言動。誰もいないのに誰かと会話をしているように見える
- 誰もいない空間へ向かって叫んでいる
幻聴の具体的な症状
■例1:自分の悪口が聞こえてしまうケース20歳の女性。最近、数日間、家の外から会社の上司の声がします。その声は、「彼女は怠け者で、他の同僚とうまくコミュニケーションがとれていない、罰を 与えなくては駄目だ」と言っています。彼女は上司の姿を探したが、どこにも見当たりません。上司は自分に会いたくないのだと考え、窓から外に向かって、 「あなたと話をしたい。誤解している」と呼びかけました。しかし、家の人には上司の声は聞こえません。
■例2:命令された気がして、行為をしてしまうケース
32歳の男性。「ある家へ行き、玄関のドアをノックして、その家のある物をとってきなさい」という声に従い、実際に、その家に行き、玄関のドアをノックし ました。ドアが開くと家の人に、声に従って物を取りにきたことを伝えました。家の人はびっくりして、ドアはすぐ閉められました。
幻聴は本人にとっては大変うるさく、不快なもので、聞こえてくる声のせいで眠れなくなったり、仕事に集中できなくなったり、物事を楽しめなくなるなど、正常な生活を送る上での障害になります。
また、上記の例のように、幻聴によって自分自身がコントロールされてしまう危険もあります。幻聴が聞こえたら、すぐに治療を受けることが望ましいです。実際、薬物療法は幻聴に対してよく効きます。
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