神経症のレベル

 お腹が痛いと言っても、食べ過ぎで痛いこともあれば、胃炎を起こしているときもあれば、胃潰瘍ができていることもあります。同じように、こころの不調の中にも、いくつかのレベルがあります。

 

病気ではないレベル

 食べ過ぎで苦しいのが病気とは言えないように、こころが弱っていたり苦しくても、病気ではないレベルもあります。誰でも、悲しいことがあれば落ち込みます。不安になることもあります。けれども、たいていの場合は、数日もすると自然に元気になってきます。これはごく普通のことで、こころの病ではありません。

 

神経症(ノイローゼ)レベル

だれでも初めての人と会うときには緊張して、不安を感じます。それでも、あいさつを交わして話ができればいいのですが、不安が強すぎて人と会えなくなってしまうことがあります。また、だれでも高いところは恐いですが、でも駅の階段も恐くて上れなくなると、生活していくのに困ります。

 このように、つらくて我慢できなくなったり、生活が不便なほどになると、病的ということになります。お腹が痛くて仕事ができない状態が続けば、胃の病気かなと考えるのと同じです。このようなこころの病気を神経症(ノイローゼ)といいます。


ノイローゼとは

神経症を表すドイツ【Neurose】を日本語でカタカナ表記したものです。神経症とノイローゼは、同じ意味です。

 

精神病のレベル(特に統合失調症(精神分裂病))

 神経症(ノイローゼ)の人たちが感じる不安や恐怖は、多くの人達が大なり小なり感じることです(了解可能)。また、神経症の人たち自身、普通に行動できないことを自覚しています(病識がある)。

 これに対して、精神病である統合失調症(精神分裂病)の人たちが感じていることがらは、健康な人たちが感じることができないものです(了解不能)。たとえば、テレビ塔から電波が出て自分を操っているとか、自分は天皇の子どもだといったことです。そして、天皇の子どもだと言う人は、そのように確信していますから、そんな変な考えを持ってしまって困ったとは思えないのです(病識がない:ただし状態が悪い時には)。


精神病とは

幻覚や妄想などによって、現実と非現実との区別がつかない現実検討能力の障害された状態を精神病状態といいます。精神病の中にも様々な病気がありますが、その代表が統合失調症で、かつては精神分裂病と言われていました。

 また、神経症(ノイローゼ)をこころの病とすれば、精神病は脳の病です。パソコンの調子が悪いときに、ソフトの問題もあれば、ハードの問題もあるのと同様です。
  

こころの病(ノイローゼ、精神病)の治療と生活について

 神経症(ノイローゼ)はもちろん、精神病も、決して不治の病などではありません。短期間で治ることもあれば、すぐには治らなくても治療を受けながら生活している人たちも大勢います。こころの病を持つ人たちは、決して恐い人たちでも、気味の悪い人たちでもありません。

 このページ全体を通して、こころの病に関する誤解を説いていきたいと思います。さらに詳しい説明をだんだんしていくつもりです。

 神経症(ノイローゼ)、精神病の他に、「心身症」や「性格障害」があります。レベルとしては、神経症のレベルです。ただ、性格障害に関しては、精神病と神経症の中間的なものもあります。