瞑想の「うつ」などへの効用は限定的=米研究

瞑想の「うつ」などへの効用は限定的=米研究

ウォール・ストリート・ジャーナル 1月7日(火)15時58分配信

瞑想は、不安や鬱(うつ)、痛みをある程度和らげるかもしれないが、薬物乱用や劣悪な食習慣、睡眠障害、肥満の抑制・改善などをもたらすという証拠はほとんど見つからなかったとする研究報告書が発表された。

この報告書は、6日発行の米医師会雑誌のJAMA内科に掲載されたもので、無作為に抽出された、合計3515人の成人を対象にした47の過去の治験を検証して分かった。

多くの人がストレスの緩和や健康の増進のために瞑想を行っている。研究リーダーのジョンズ・ホプキンズ大学のマドハブ・ゴヤル内科准教授は、報告書の狙いは、過去の治験を基にして医師が瞑想の効用と限界について患者に最適の助言を与えるのを手助けすることだったと述べた。

 参加者はマントラ瞑想法とマインドフルネス瞑想法のどちらかについて専門的な訓練を受けた。マントラ瞑想法は、言葉を繰り返すなどして注意を向ける対象がなくなる状態に気持ちをもっていくもの。これに対しマインドフルネス瞑想法は、注意を集中させる訓練を重視するやり方。

 報告書によれば、ある程度の効用があったのはマインドフルネス瞑想だけだった。例えば、軽い鬱の症状がある患者のマインドフルネス瞑想による回復は、抗うつ剤を服用した場合に期待されるものと同程度だった。マントラ瞑想法による治験はほとんどなく、そのためこの瞑想法の効用を示す証拠はほとんど見つからなかった。また、瞑想が有害であることを示す証拠もなかったという。

 研究者らは、瞑想に関する1万9000件近い研究から科学的なものを抽出した。ハーバード大学医科大学院(マサチューセッツ総合病院)のアラン・H・ゴロール教授はJAMA内科誌に掲載された解説文の中で、今回の研究は瞑想がストレスに関連した症状の軽減効果が恐らく一般に考えられているより小さいことを示唆すると述べた。同教授は「マインドフルネス瞑想が、小さいものの潜在的に有意義な精神的苦痛軽減をもたらしたという重要な例外があったものの、研究は全体として、苦痛軽減ないし全般的な健康状態の改善という点で瞑想がもたらす効果を示せなかった」と述べた。

 ただし、同教授は被験者が瞑想の訓練を30~40時間しか受けていないため、「瞑想はマスターするのに時間がかかる技能」であることを示唆している可能性があると指摘した。同教授は瞑想の効用に関する確固たる結論を出すには、より多くの証拠が必要だとも述べている。

 マインドフルネス瞑想を推進する「ニューヨーク・インサイト・メディテーション・センター」でインストラクターを務めるジョン・アーロン氏は、「人々は何かしら 苦しんでいるから瞑想のクラスにやって来る」と述べ、人々は瞑想を通じ、より生産的な手法でストレスと関わることを学ぶと話した。