重度のうつ病を克服して小さい会社の社長になった人

以下は、うつを克服して自己実現をなさった方の言葉です。

 

長期に渡るうつ病を克服する上で確実に必要になってくるのが認知を矯正することです。

うつ病にも様々な種類があり、例えば近親者をなくした悲しみからなかなか復帰できないとか、環境がいきなり変わってしまってそれになかなか馴染めないだとか、後は自分の身体が変わってしまってそれに馴染めないことから来るなどのうつ病もあります。

これらの突然の変化からくるうつ病は個人差はあれどそれほど治るのに時間がかからないと思います。そもそも元気な自分がいて、ある環境の変化によって脳が一部機能してないだけですから、そこで頑張らずに少し休んで時間を置けばまた元通りになれるでしょう。

しかし私のように数年に及ぶうつ病、中には十数年以上もうつ病と闘っている人に対して「少し休んで時間を置けば・・・」とはなかなか言えません。もう十分時間を置いているので、考え方のどこかがボトルネックになっているわけです。

私は半ば自己流ですが認知を矯正することに成功していると自負しております。

うつ病だった時に私の思考を支配していたものは絶望でした。表現するのは難しいのですが、狭い部屋に閉じ込められてそこには首吊り台しかなく、今死ぬのを選ぶか、それともここで飢え死にするのを待つかいずれかの選択しか考えられないという思考に縛られていました。

自分がもがけばもがくほど他人に迷惑をかけてしまうというジレンマに陥り、自分が生きていることが社会のためにならないと思い込んでいたことが大きな原因です。

その一つは保険会社で働いていてあまり人に感謝されることがなかったからだと思います。損保会社で代理店独立するのは結構大変で、毎月毎月ノルマに追われ、当然のことながら友人知人親類に無理を言って数字合わせのためにお金を払ってもらってました。なんとかその恩に報いたいと思っても自分ひとりの力など大したことなく、なんとかしたい、どうにもできない、で3年が過ぎ去り、気づいた頃には精神が病んでいました。

もちろんそれだけが原因ではなく、慢性的な睡眠不足だとか夫婦仲の不和だとか色々諸問題もありましたが、端的に言って社会からの疎外感が私のうつ病を難しくした原因だと思っています。

認知療法に入る前に薬物療法や様々な手段でまず思考できるだけの脳機能を回復させたんですが、それは割愛して、認知のゆがみの矯正でまず始めたのは、自分を客観視するということでした。

ひとつは日記です。当時ブログという言葉はなかったんですが、似たようなことを毎日書いていました。自分の生活や思ったことを書き残すだけでかなりの効果がありました。その時気をつけていたことは三日坊主癖を治すということです。

これは毎日続けるという意味ではなく、三日でやめたからといってもう全部終わりと思わないということです。私は三日~七日継続してその後やらなくなったものを、もうダメだと思い込む癖がありました。人が三日坊主だと言うのを真に受けて、本当に自分は三日坊主だと思い込んでしまったのです。

三日やって三日やめても、また三日続ければそれは継続していると同じだと思い込むことにしました。結局一生やり続けることなんて、どんなことでもほとんど不可能なわけで、三日だろうが1年だろうが大きな人生の枠で考えればそう変わらない時間なんです。そうであればやった方がいいことであれば一生の中で何度もやった方が良い。三日一週間一ヶ月一年などという小さな枠で考えないで、もっと大きな枠で考えるようにしました。

なのでその時やっていた日記は飛び飛びなのですが、様々な日記に以降しても尚、そういう習慣が続いているので丸8年は続いていることになります。

自分を客観視することはうつ病治療で大きな成果を上げました。悩んでいる自分とその悩みに共感するもう一人の自分がいて、お互いで慰めあうような感覚になりました。またその時思ったことを、時間を置いて考える習慣も身に付いたので、”時が解決する”というのを結構体感できます。
これも大きいと思いました。

次にやったことはかっこよく言うと瞑想です。ただそんなに崇高な行為じゃなく、ラフに言うと”イマジン”に近いと思います。空想の世界で結構楽しんでいました。辛いなあと思っても空想の世界という逃げ道があれば、別にいいやと思うと気が楽になってきました。

この時気をつけたことは、空想の世界なのに遠慮をしないということでした。実は空想と言っても現実の縛りに縛られることは結構ありまして、どうやってもいいはずなのに自分で勝手に縛りを作ってしまうのです。そこをどこまで取り払えるかという部分を重視していました。この時の思考方法が物事を多面的に見る癖に応用されていきます。


そして最後に自分はすごい存在だと認知する作業です。具体的な方法はいくつかありますがこれは人によってかなり違うと思うので割愛します。
ポイントは"今この時点で自分は結構すごいんだぜ”って思うことです。これは将来俺はすごくなるぜ、でもいけないし、昔俺はすごかったんだぜ、でもいけません。今この時点でパーフェクトと思わなければいけません。

なぜそう思うようにしたかというのは、そう思ったほうが周囲のため世のためになると思ったからです。何も自分はすごいから威張ってもいいとかそういう小さい次元の話ではなく、自分が今行っているあらゆる行為は全自分が肯定してあげないと、ストレスになってしまうのです。

そこで必要な思考が自分はすごい奴だと思うことです。

間違いを犯すこともあるでしょう、失敗することもあるでしょう。しかし、その間違いを認められる自分はすごい。失敗してもへこたれていない自分はすごいと思うことで次のステップにいけるのです。

その思考の核になるのは、自分は人のため社会のために役にたつ人間であるという考え方です。
しかも現時点でというのがポイントです。

簡単な言葉でいうと”開き直る”ってことなんですが、多くの人にとっては当たり前の感覚でもうつ病などの病気にかかる気質を持った人には当たり前ではありません。
私はその考えに到達するまでに数年もかかりました。

数年もかかりましたけど、到達できる自分はすごいのです。しかかっている人もしかかっている段階でもうすごいのです。悩んでる人は悩んでること自体がすごいのです。

もちろん悩んでいない人は悩んでいないことがすごいのです。
どれも正解です。